再び繁栄の道へ クウェート
砂漠にカイロ
灼熱のイメージの強いクウェートだけど、実は冬はとても寒い。砂漠からの乾燥した強風を受けて体感温度が日本より低く感じられる夜も多く、日本の携帯カイロをクウェートの友人にあげたら「すごい発明!」と感動された。1月、2月といえばクウェートの人々が週末好んで郊外のテントでキャンプするシーズン。
砂漠の朝晩は冷え込むから携帯カイロはかなり役立つようで…
亀作戦、無事終了! オレンジの袋本日のゴミの収穫 |
デモよりメール
クウェートで初めて総選挙に女性が参加する事で何かと話題の2007年7月の国民議会選挙。「従来の25選挙区を5選挙区に減らそう!」と2006年5月5日に若者達150−200人がデモで訴えたけど、左の写真をよーく見ると最前列の男の子2人は片手にプラカード持ったまま携帯でメール打ってる! 女の子達も何だか楽しそう。もう1枚の女の子だけの華やかな写真の白いスカートを見るとクウェートでもこの春は日本同様”ひらふわスカート”が流行してるのかな、と思う。
2005年5月に国民議会で可決された女性参政権、その歴史的決定が為された日にクウェートを駆け巡ったジョークは「先ず国会にビューティーサロンを作らないと…」だった。さすがお洒落な女性が多いクウェート。2006年4月の地方自治体の補欠選挙では初めて女性2人が立候補し、結果は8人中次点と最下位だった。女性が国政に初めて関わる来年の総選挙が楽しみだ。
高級車の展示場
部屋の中に高級車が座ってる右の写真、笑える〜 でもクウェートならあり得る? 何たってクウェート大学の駐車場は高級車の展示場だ、と言われるように学生でさえ高級車を乗り回す人が多いクウェート。クウェート大学の学生が「レクサスに乗ってるよ」と言うので「あんな高い車に乗ってるの?」と驚いたら「いや、ボクのは安いモデル。お母さんはもっといいレクサスに乗ってるよ」だって。街中でも確かに日本で見るよりレクサスが多いし日本未発売や先行発売のモデルがあったりして、車のメーカーにとっては超お得意様の国って感じ。そう言えば去年クウェートで日産のカルロス・ゴーン社長が著書(アラビア語)と日産車を宣伝をした際、リップサービス(と思うけど)「将来クウェートにも日産の工場を作りたい」と真顔で言っていた。工場なんか作らなくても高級輸入車バンバン売れてますよ〜
3拍子揃ったマハさん
アラブで最も成功した女性実業家の一人Maha Al-Ghunaymさんは御覧の通りの美貌で、しかも実年齢より老けて見える人がほとんどの中東にあって到底47歳とは見えない若々しさ。マハさんは41万USドルの自己資金を元手に1998年に投資家から5000万ドル集めて投資会社を設立、副会長(実際には陰のボス)として会社をみるみる急成長させ、2005年の会社の収益は21億ドル、会社の資産は60億ドルに。彼女の投資会社はクウェートのみならず他の湾岸諸国やヨーロッパにも進出している。マハさんの成功は欧米の経済紙でも大きく取上げられ、Forbesの表紙を飾ったり、ドバイの株式市場ではUAEで初めて女性として壇上で市場の鐘を鳴らす名誉も与えられた程。美人で頭がよくてお金持ちで、ホント素敵〜
選挙違反ではありません
クウェート国民議会の議席数は50で25選挙区から2人ずつ選出され、任期は4年。この50席に毎回300人から500人立候補するというから結構激戦。辞めた後の議員年金もかなり高額で、さすがクウェート。選挙活動では男性専用の応接間(ディワニヤ)や特設テントで立候補者が食べ物や飲み物を有権者に気前よく振舞いながら支持を訴える。これって日本だと選挙違反よね? なお選挙区を25から5に減らそうという意見の他に、ベドウィンとハダル(海の民)に25ずつ議席を与えてはどうかという論もあり、選挙区配分の議論はまだまだ続きそう。ベドウィンは出生率が高く人口が増え続け、発言力を強めている。
ワールドカップがやって来た
出場こそ逸したものの、クウェートも他のアラブ諸国同様ワールドカップで熱くなっている。でも普通に地上波で見られる日本と違って、クウェートでは衛星チャンネル局Artが今大会の放映権を独占し「サッカー見たいなら1年間の購読契約、90KD(約36000円)也」と強気に出ているそうで、おとなしく年間契約する人もいれば「1ヶ月しか必要ないのに〜」と諦める人も。そんな人達の為に あちこちのモールやカフェに大型スクリーンが登場しているらしい。6月29日の国民議会選挙の候補者達の多くも有権者へのサービスとして 選挙運動拠点の特設テントにテレビを持ち込んでいるとか。
クウェート的選挙運動
6月29日の国民議会選挙(議席数50)に向けて候補者達は最後の追い込み中。6月3日の立候補届出締切までに名乗りを上げた候補者は男性370人女性32人の計402人。でもその後2週間で辞退者が60人も出て(どうして〜?)今日18日現在候補者は計約340人。キャンセルの受付締切まで後約1週間あり、更に辞退者が出る見込みだとか。走り出して途中で止めちゃうなんて不思議… 候補者のポスターや看板の大きさはシチュエーションによってさまざま。皆さんディシュダーシャ着てるのがクウェート的。左の写真でAnwar氏の巨大看板が頭の形に沿って切り抜かれてるのが面白い。
世界一の美男子
パノラマというサイトによると、最近ある国際コンテストでクウェート人の男性モデルが各国から集まった30人以上の出場者の中から見事"世界一の美男子"グランプリに選ばれたらしい。写真のアフマド君(25歳)がそう。確かに精悍な顔立ちで美形の彼、賞金100万ドルをゲットだって! それにしても湾岸諸国や北部アラブの人の"目力"は男性も女性も強力… あちらの人は「東洋人の目って寝てるみたい」なんて冗談飛ばしてるけど、逆に言えばアラブ人は寝てはいけない場面でうっかり居眠りすると即バレる? ;P
私を投票に乗せてって!
クウェートの格安航空会社ジャズィーラ・エアウェイズが女性を対象に選挙前日と当日に「タダでクウェートにお連れします」と太っ腹な御祝儀サービスを計画。バーレーン、ベイルート、アレキサンドリアなど8都市からのフライトを対象に、女性なら(国籍問わず)空席があれば片道無料でクウェートに飛べるというもの。ジャズィーラ航空は2004年創業で近隣諸国に路線拡大中。全席エコノミーでミールサービスが無い代わりにどの路線も片道50ドル以下の設定。
女性候補者第一期生
女性が初めて国政に参加するという事で欧米のメディアからも注目される6月29日のクウェート国民議会選挙。24日に立候補"キャンセル"受付が締め切られ、何とその日一日だけで58人が「やっぱり立候補止めます」と届出。当初の立候補は407人(402人と複数のメディアで報道されてたのに いつの間にか増えている。なぜ?)だったけど、この3週間のキャンセル受付期間で合計154人も辞退、結局女性28人を含む253人で50議席を争う事に。有権者は約34万人。
ところで印象が大事なのはどこの選挙でも同じ? 新聞の一面に載った女性候補者の一人ナイマさんのファッションは「下着の線まで見える」と本題と関係無いところでかなり話題になったとか。こういうファッションは結構クウェートで見かけるけど、選挙運動ではちょっとまずかったのかな…
かくもカラフルな投票所
結局国民議会選挙で女性は一人も当選しなかったけど、翌朝の新聞には投票所(学校が使われる。半端じゃない広大な敷地)やその周りで陽気で華やかな女性有権者達の様子が大々的に取り上げられた。まるでお祭のようで、こっちまで楽しくなって来る。大家族で親戚の多いクウェートでは 一族の中に候補者がいたら親戚の女性達もサポート部隊としてファンクラブさながら候補者の名前入りのお揃いの帽子、スカーフ、Tシャツ姿でキャンペーンに一役買って出た。で、彼女達は当日そのままの奇抜な格好で投票所に行き(男女別々、夫婦でもダメ)、有権者にお花やカード、お菓子なんか配ったりして(日本だと選挙違反ですよね)投票に来たんだか宣伝に来たんだか限りなく不透明な一日を過ごす。投票箱が置いてある部屋以外では何でもOKって感じ。一方の男性用の投票所は白いディシュダーシャ姿の男性が大多数を占め、カラフルな女性の園とは対照的。あ、ベドウィンの選挙区では黒いアバーヤで全身覆ってる女性が多いけど。
候補者達は投票ギリギリまで有権者の心を掴もうとあの手この手のサービスを投票所内外で繰り広げる。写真にあるようにビュッフェとかお菓子や飲み物をふるまったり、ゴルフ場や球場で見るようなカートで有権者を投票所の敷地内で送り迎えしたり、花束配ったり、順番待ちの有権者にパラソルやイスを用意したり… 全て日本じゃ選挙違反、でもクウェートでは当たり前の合法的工作。"ケチ"と言われるのを事の外嫌がる国民性が現れてるような… 選挙権があるだけで こんなおもてなしを受けられるなんて羨ましい!
投票箱が置いてある部屋には各候補者が送り込んだスタッフが選挙管理委員会の人達の後ろに張り付いて不正が無いかどうか自分達で確かめる仕組みになっている。例えば写真のように文字の読めない女性の場合、公式の代筆者に口頭で意中の候補者を告げて投票するわけだが、代筆者の背後に座った各候補者のスタッフ達は不正のないように厳しくチェックを入れる。友人のお母さんも投票所へ…でも投票が目的じゃなく、投票所でお友達や親戚とお喋りする為だそう。
ポンッと昇給40万円
クウェート大学の先生の月給は何と40代前半で2500KD=約100万円(もちろん無税)らしい。しかも30代で教授になる人も多い。更にこの度新しい法律が施行され、ほとんどの先生方は一律1000KD=40万円の大幅な昇給が認められた。スゴイ大盤振る舞い… 日本の国立大学の先生ってどのくらいもらってるのかな? 学生時代を振り返ってみると 教授はともかく、助教授(30代ー40代)の先生はとても100万なんてもらってそうには見えなかったけど。
ラマダンがやって来た
2006年のクウェートのラマダン(断食月)は9月23日から始まった。外国人の非ムスリム宿泊客向けの朝食サービス以外(しかも人目につかないように仕切りがしてあって怪しげ)、レストランは日没まで軒並み閉まっているし、マリーナ・モールのような大型ショッピングセンターも午後は”シャッター街”となり、お昼のクウェートはエネルギーを消費しないようにしているかのように静か。でもスーパーマーケットはメチャ混み。
そしてラマダンの夜は普段お目にかかれない特別な料理(日本のおせちと同じ)ご馳走はあるし、お店は遅くまで開いてるし、人の往来は活発になるし、毎日お祭のよう。自宅でフトゥール(日没後最初の食事)を摂る人が多い為、テレビも連続ドラマや庶民参加型クイズなど気合の入った特別番組が目白押しで、ラマダンは一年で最もテレビ番組が充実している時期と言われている。面白いのは断食月に合わせて料理本が新刊されたり料理番組が増える事。そういう私も店頭の目立つ場所に並んでいたアラブ料理の本を3冊買った。美味しそう〜
お菓子の食べ過ぎに注意
そんなクウェートでのラマダンのハイライトの一つは断食月の2週目、満月の頃にやって来るゲルギアーンという習慣で、子供達が歌を唄いながら家々を回り、大人達からチョコやキャンディーなどをもらう物。サンタクロースのような袋一杯に戦利品を収める子供もいるとか。イラクや他の湾岸諸国の一部でも似たような習慣があるらしい。専門家はお菓子の食べ過ぎを警告してるけど、甘い物好きの国民性、あまり聞く子はいないのでは。またいい大人(男性も)になっても姉兄や年上の親戚からお菓子のバスケットをもらったりする。私も欲しい〜
どなたですか?
あるラマダンの夜、大通りに面した建物からディシュダーシャ(クウェート男性の白い民族服)姿の群れが出て来た。清潔な白と夜の落ち着いた明かりのコントラストがきれいだなぁ、と見とれていると次の瞬間パトカーがその建物付近の一車線を封鎖している物々しい光景が。実はクウェートの首長がこの建物を訪問していたのだ。
この建物はディワニヤと呼ばれる男性御用達の"応接間"で、たいていのクウェート人の家にあり、女性の家族と男性客が顔を合わせずに済むように男性客専用の勝手口が付いている。各家庭のディワニヤ以外にも親戚一同で共有する私的公民館のようなディワニヤを持つ一族も多く、ラマダンの夜は親戚連中(男性のみ)のたまり場になるらしい。そして毎年ラマダンの一ヶ月の間 首長は各ディワニヤをできるだけ訪ね歩くらしく、さすが小さく安全なクウェートならでは。
お年玉は何歳まで?
日本のお年玉同様、クウェート等湾岸諸国でも(他のアラブの国の情報は不明)断食月ラマダン明けのイード(祝日)には大人が親戚の子供達にEidiyaを配る。だからラマダンの終盤の銀行は新札を求める大人達で混み合い、政府や会社も早めに給料を支払う。お金は日本や中国のようにポチ袋に小分けする繊細な習慣は無く(;P)、男性ならディシュダーシャのポケット、女性はハンドバッグに文字通りバサッと札束を入れて歩いている。
クウェートの場合 お札の最小単位は4分の1ディナール(約100円)で、幼児ならこれで十分、なんせお年玉をくれる大人がたくさんいるから。一方、ハイティーンには10−20ディナール(4000−8000円)以上あげるのが相場だとか。それでも昨今の日本の相場に比べると小額だけど、子だくさんでしかも親戚づきあいの活発な湾岸諸国の場合、お年玉をあげる子供の数も半端じゃない。親戚の子供だけじゃなく、中国人達のお年玉の習慣同様、年下の同僚や使用人にもお金をあげるので益々出費は膨らんで行く。私の友人は今年もEidiyaだけの為に20万円が消えてしまいそうと嘆いていた。賃貸マンションを経営しているその友人のお父さんなんか毎年100万円の出費だって! なんて太っ腹…
豪邸は是か非か
「クウェート人よ、本当に豪邸は必要なのか? 小さな家に住む日本人を見たまえ!」とはクウェート人記者による最近の地元紙の特集記事。(私が言ってるんじゃないけど、ウサギ小屋の住人として共感!) 記事の要約は「クウェート人は必要以上に大きなリビングルーム、ディワニヤ(男性専用の応接間)や地下室など、家に関してお金と空間を浪費している。豪邸を建てて飾り立てても使わない部屋やスペースがたくさんあるじゃないか。滅多に使わない地下室に25000ディナール(約1000万円)もかけるなんて、本当にもったいない。ジャクジーやマッサージ室なんて実際になのか?」(そうだそうだ〜) 記事によればクウェートの家の40%のスペースは無駄な部分との事。
記者はさらに日本のウサギ小屋を引き合いに出し、「豊かな先進国・日本では大多数の人々は50-60平米の小さな家に住んでいて、不公平だ。そして日本人は限られたスペースをセンチメートル単位での有効利用に優れているが我々にはそれができない」と日本に同情的というか好意的というか… でもクウェート人のお城のような豪邸、羨ましいな。
旅に出ます
2006年暮は巡礼月の犠牲祭と非イスラム教徒の通常の冬休みが重なり、帰省する外国人労働者を含めてクウェートでも出国ラッシュが続いていると友人から聞いていた。でも「外国人を入れた人口が僅か200万少々の国、成田ほどじゃないだろう」と思っていたら大間違い。空港が小さいから余計ごった返しているような気が…