中東の笛の音色は… 
以前から疑惑が囁かれていたハンドボールの”中東の笛”問題、2007年9月に豊田市で行われた北京五輪アジア予選(日本、韓国、クウェート、アラブ首長国連邦、カタールが出場。クウェートが優勝して五輪出場権獲得)でもクウェートなど中東チーム寄りの判定が相次いだとして日本と韓国の合同抗議が認められ、12月17日に国際ハンドボール連盟がアジア予選を再開催する異例の決定を出した。

再び繁栄の道へ クウェート

深夜盛り上がるモール
クウェート滞在中一番驚いたのは生活リズムの違い。日本だと平日の夜9時や10時といえば家で寛いだり残業している(涙)人も多い時間帯だけど、クウェートではその頃、遅めの夕食やお茶してる人、買物客、人間ウォッチングしてる人達でショッピングモールは大混雑。ハンバーガー片手に盛り上がる若者でマリーナモールのフードコートでは深夜11時過ぎても空席を探すのにひと苦労。お酒抜きで夜中にあんなにハイになれるって日本では珍しいシーンでは… 珍しいといえば、夜のショッピングモールに地元の若い女性がベンツやBMWを自分達で運転して乗りつける姿も他の湾岸諸国ではあまり見られない光景かも。

砂漠にカイロ
灼熱のイメージの強いクウェートだけど、実は冬はとても寒い。砂漠からの乾燥した強風を受けて体感温度が日本より低く感じられる夜も多く、日本の携帯カイロをクウェートの友人にあげたら「すごい発明!」と感動された。1月、2月といえばクウェートの人々が週末好んで郊外のテントでキャンプするシーズン。
砂漠の朝晩は冷え込むから携帯カイロはかなり役立つようで…

クウェートタワー
ムハラブ・モール
クウェート人に欠かせない
ショッピングモール 
夜9時半からお茶?
ある夜の事、クウェート人の友人達がレバノン料理店に連れて行ってくれた。閑静な住宅地にたたずむ邸宅風のフェイルーズというこのレストランは雰囲気も料理もBGMのフェイルーズの音楽も全て完璧! 恋愛や将来の夢、アラブの歌手などの話を楽しんだ後、ホテルに送り届けてもらったのは9時半。これから部屋でのんびりしようかと私が考えていると、彼女達に「まだ早いね。もちろん今からカフェにお茶飲みに出直すでしょう?」と聞かれて返事に困ってしまった。遅めの昼食の後、長いお昼寝をし、夕方からは家族や友人との交際にたっぷり時を過ごせるなんて、日々仕事と時間に追われる典型的日本人の私には実に羨ましい限り。

携帯電話で撮った
コンサートの様子
コンサート、でも聴衆は…
私はアラブポップスの大ファンでCDも約250枚持ってるほど。2005年に念願のコンサート初体験、生の演奏に我を忘れて…と言いたいところだけど、聴衆のクウェート人達をウォッチングするのも面白くて。夜8時(終わるのも遅くて夜明け3時)の開演時までに来場したお客は全体の半分程度で「チケット完売って聞いていたのに、どうして〜?」と戸惑っている私の前に続々と、しかも堂々と現れる遅刻者達。こうして開演2時間後にやっと席が埋まった次第だけど、ステージ上の歌手は慣れてるのか、平然と唄い続けてた。知人を見つけては立ち上がって長〜い挨拶やキスを交わしたり携帯電話でお喋りしたり、と普段と変わらないクウェート人聴衆を観察するのに気をとられてしまった私、あれ〜、演奏の事あまり覚えてない…
最初に旅した時、1990-1991年の湾岸戦争の後遺症で国立博物館は一部が黒くこげ、クウェートタワーに入ったヒビが痛々しく思えたクウェート。あの悲しい過去は決して忘れられないけど、湾岸戦争後、特にイラクのフセイン政権が倒れてからのクウェートの復興ぶりは失われた歳月を取り戻すべく急速に進んだ感がある。

日本の地方都市のような少々のんびりした雰囲気は未だに残っているものの、古びた垢抜けない商店街に代わってスタイリッシュなモールやオフィスビルが現在進行形で続々と建設され、まさにクウェートは今、再び繁栄の道へとまっしぐらだ。
面積17,818平方キロ(四国くらい) 人口275万人(うちクウェート人95万人) 
一人当たりGDP 16,000ドル(日本は36,187ドル)
日本に勝った
クウェートチーム
日本ークウェート戦
キャプテンがシュート

”中東の笛”が
鳴った瞬間?
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予選3位に終わった日本ハンドボール協会陣の感情や行動はメディアで最近までほとんど取り上げられなかったが、2位だった韓国の新聞には予選終了後、”恥を知れ、クウェート! オイルマネーでスポーツを汚すとは”なんて過激な見出しも載っていた。再試合は2008年1月末までに国際ハンドボール連盟の管理下で行われる予定との事で、出場権を逃した日本も急遽代表メンバーを再招集して合宿するなど再チャレンジに備えているものの、肝心の再試合の日程も開催地も現時点で決まっていない。そしてここに来て優勝国クウェートの王族が会長を務めるアジア・ハンドボール連盟が2008年1月5日、アジア予選のやり直しを拒否する結論を出し、ますます先行き不透明に…

1月6日の国営クウェート通信によると、前日クウェートで開かれた常任理事会を開き、クウェートチームの優勝の正当性を承認し、国際ハンドボール連盟にその旨を通達する事を決めた。さらにアジア連盟に加盟する他の国々に対して、万一国際ハンドボール連盟が再試合を強行する際は開催国に名乗りを挙げたり参加したりしないよう要請する事に。

選手に罪はないけれど、理想はクウェートが再試合に応じて真の実力を見せてくれる事。でも再試合の費用は参加国負担らしいので、優勝の望みが全く無い(失礼!)アラブ首長国連邦とカタールが参加するとは思えないので、実質の当事者はクウェートと日本・韓国連合。このすれ違いを北京五輪までにどう解決していくのか気になる。

ところでアジア・ハンドボール連盟会長の元石油相は2004年に日本と韓国を訪れた際、「アジアのスポーツ振興に貢献した」と両国からそれぞれ表彰されたり、東京の某大学からはアジアスポーツへの貢献度を買われて名誉学位まで贈られている。クウェートの友人に言わせると元石油相は大変優秀で国民に人気がある反面、政敵も人一倍多いらしく、大臣の座もスキャンダルで失った。
亀作戦、無事終了! オレンジの袋本日のゴミの収穫
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午前0時の水泳とサッカー    
日本も2007年は猛暑に見舞われたけど、クウェートの夏はモチロン毎年暑い。湿度数パーセント&気温50度でエアコンとマイカー移動がお約束のクウェートを選ぶか 湿気ムンムンの37度で徒歩や公共機関での移動が圧倒的な日本、どっちがいいんだろう。

写真は暑い日中を避け、暗くなってからクウェートのサルミヤ・ビーチで遊んでいる人々で、夕涼みする姿自体は日本の砂浜と似ているけど 全然違うのは時間。このごった返した海(子供もたくさん泳いでいる)もビーチサッカーもシーシャ(水たばこ)の写真も全て夜中の零時以降の光景。もちろんショッピングモールのフードコートは夜中まで恐ろしく賑わっていて、1時頃まで周辺の道路は渋滞。彼らの体内時計ってどうなってる? 

0時過ぎても海はこの賑わい
(2007年8月18日
Al-Qabas紙)

やっぱりサッカーやるなら夜中?
(2007年8月18日
Al-Qabas紙)
Diary
サルミヤ・ビーチには
ネコがいっぱい
イラク軍が火を点けて溶けた油田地帯の石油タンク
大人の男性御用達の
昔タイプのカフェ
ちょっと東南アジア風の
昔の卓上小物
Syria
Tunisia
Morocco
Jordan
Iraq
Egypt
Yemen
Oman
Saudi Arabia
UAE
Qatar
Kuwait
Bahrain
広々としたモール
 まだ2割の完成度
船も登場!カルフールで売られているお寿司。握り寿司は1個0.9ディナール(約380円)、黒い容器の詰合せは1パック4.25ディナール(約1740円)・・・高過ぎません?

1パック3.99ディナール(約1640円) 意外と(?)美味しそだけど値段の高さも想定外?
ひとり言
見た聞いたアラブ
これが噂の亀作戦! 
2007年11月24日に在クウェート日本人会主催の毎年恒例の「亀作戦」が行われ、国営クウェート通信によると日本人とクウェート人有志約160人が1時間かけてクウェート湾の砂浜でゴミ拾いをし、30枚のビニール袋がいっぱいになったそうだ。「今年で7年目だけど、今回は早めに案内が来たから学生達をたくさん連れて参加できたわ。今までで一番多くクウェート人が参加した”亀作戦”になり、日本人の皆さんも喜んでた」と友人であるクウェート大学準教授が写真を送ってくれた。何だか楽しそう… 
写 真
プロフィール
新たな都市伝説誕生
クウェート人の間で今一番ホットなショッピングモールの代表はアル・ライ地区(サルミヤから車で約20分)に2007年4月にオープンしたThe Avenues(アヴェニュー)。無敵の総工費20億ドル(約2400億円)と最大面積14万平米(一説では17万平米= 東京都が2016年オリンピック用に晴海に計画中のメインスタジアムの敷地面積と同じ)を誇り、モール全体で何と1万もの雇用が見込まれるとか。日本の過疎の村より大規模?! 

サバーハ首長自らオープニング・セレモニーに駆けつけたこの巨大モールには2010年の完成までに216以上のお店、10軒が連なるシネコン、39軒のレストランとカフェ、5ツ星ホテルと4ツ星ホテルが各1軒、病院、スパ、遊園地、会議場、シアター、オフィス・スペース、最先端のビジネス施設などが順次入る予定らしい。湾岸諸国随一のブランド出店数(一部メディアは500ブランドと報道)、食料品からプラズマテレビまで揃う巨大スーパー・カルフールのクウェート初お目見え、湾岸諸国最大の家具店IKEA、というのも大きなウリで、カルフールとIKEAは既にオープンしている。

あまりに巨大過ぎるせいか、4月のオープン時に披露できた姿は計画全体のほんの20%。それでも現地の友人は「大き過ぎて歩くのが面倒」とこぼしていた。レンタサイクルかスケボーが必要かも?:D そんなわけで建設計画は4工期に分けられ、第2ステージ完成は2008年3月、第3ステージは同年後半の予定。現在4000台が停められる(十分大きいと思いますが…もちろん料金はタダ)駐車場のキャパシティも2010年までに15000台に大幅アップする計画。

アヴェニューの設計を担当したのは ドバイのエミレイツ・タワーなど中東で斬新なビル造りを多数手がけたNorr Consultantsで、国際コンペにより選出。また、モール所有者のMabanee社は湾岸のあちこちでダベンハム・デパートやヨーロッパのブランド店を手広く展開している。
アジア編
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至福のサロン
家の中に高級車?
こんな冗談も
クウェートならでは

1月に逝去した
首長の葬儀を
伝えるAl-Qabas紙

アラブで最も有名な
女性実業家の一人Maha Al-Ghunaym

選挙区を5に減らす
よう訴える若者、
でもメールしてる子
見っけ(Al-Qabas紙)
前列中央の赤カーデガンに白スカートの
女の子が可愛い

デモよりメール
クウェートで初めて総選挙に女性が参加する事で何かと話題の2007年7月の国民議会選挙。「従来の25選挙区を5選挙区に減らそう!」と2006年5月5日に若者達150−200人がデモで訴えたけど、左の写真をよーく見ると最前列の男の子2人は片手にプラカード持ったまま携帯でメール打ってる! 女の子達も何だか楽しそう。もう1枚の女の子だけの華やかな写真の白いスカートを見るとクウェートでもこの春は日本同様”ひらふわスカート”が流行してるのかな、と思う。

2005年5月に国民議会で可決された女性参政権、その歴史的決定が為された日にクウェートを駆け巡ったジョークは「先ず国会にビューティーサロンを作らないと…」だった。さすがお洒落な女性が多いクウェート。2006年4月の地方自治体の補欠選挙では初めて女性2人が立候補し、結果は8人中次点と最下位だった。女性が国政に初めて関わる来年の総選挙が楽しみだ。

高級車の展示場 
部屋の中に高級車が座ってる右の写真、笑える〜 でもクウェートならあり得る? 何たってクウェート大学の駐車場は高級車の展示場だ、と言われるように学生でさえ高級車を乗り回す人が多いクウェート。クウェート大学の学生が「レクサスに乗ってるよ」と言うので「あんな高い車に乗ってるの?」と驚いたら「いや、ボクのは安いモデル。お母さんはもっといいレクサスに乗ってるよ」だって。街中でも確かに日本で見るよりレクサスが多いし日本未発売や先行発売のモデルがあったりして、車のメーカーにとっては超お得意様の国って感じ。そう言えば去年クウェートで日産のカルロス・ゴーン社長が著書(アラビア語)と日産車を宣伝をした際、リップサービス(と思うけど)「将来クウェートにも日産の工場を作りたい」と真顔で言っていた。工場なんか作らなくても高級輸入車バンバン売れてますよ〜

3拍子揃ったマハさん
アラブで最も成功した女性実業家の一人Maha Al-Ghunaymさんは御覧の通りの美貌で、しかも実年齢より老けて見える人がほとんどの中東にあって到底47歳とは見えない若々しさ。マハさんは41万USドルの自己資金を元手に1998年に投資家から5000万ドル集めて投資会社を設立、副会長(実際には陰のボス)として会社をみるみる急成長させ、2005年の会社の収益は21億ドル、会社の資産は60億ドルに。彼女の投資会社はクウェートのみならず他の湾岸諸国やヨーロッパにも進出している。マハさんの成功は欧米の経済紙でも大きく取上げられ、Forbesの表紙を飾ったり、ドバイの株式市場ではUAEで初めて女性として壇上で市場の鐘を鳴らす名誉も与えられた程。美人で頭がよくてお金持ちで、ホント素敵〜

選挙違反ではありません 
クウェート国民議会の議席数は50で25選挙区から2人ずつ選出され、任期は4年。この50席に毎回300人から500人立候補するというから結構激戦。辞めた後の議員年金もかなり高額で、さすがクウェート。選挙活動では男性専用の応接間(ディワニヤ)や特設テントで立候補者が食べ物や飲み物を有権者に気前よく振舞いながら支持を訴える。これって日本だと選挙違反よね? なお選挙区を25から5に減らそうという意見の他に、ベドウィンとハダル(海の民)に25ずつ議席を与えてはどうかという論もあり、選挙区配分の議論はまだまだ続きそう。ベドウィンは出生率が高く人口が増え続け、発言力を強めている。


National Bank of Kuwaitのロゴは
ラクダ。ボサボサ頭のこの子が新キャラに
なるって冗談が…
選挙区増減を議論する議会に駆けつけたクウェート市民
5選挙区派はオレンジの風船を飛ばした。
黒いイガールまで
投げたのは誰?

(2006年5月16日
Al-Rai紙)
出場国の国旗が
掛かるスークシャルク

ワールドカップがやって来た 
出場こそ逸したものの、クウェートも他のアラブ諸国同様ワールドカップで熱くなっている。でも普通に地上波で見られる日本と違って、クウェートでは衛星チャンネル局Artが今大会の放映権を独占し「サッカー見たいなら1年間の購読契約、90KD(約36000円)也」と強気に出ているそうで、おとなしく年間契約する人もいれば「1ヶ月しか必要ないのに〜」と諦める人も。そんな人達の為に あちこちのモールやカフェに大型スクリーンが登場しているらしい。6月29日の国民議会選挙の候補者達の多くも有権者へのサービスとして 選挙運動拠点の特設テントにテレビを持ち込んでいるとか。

クウェート的選挙運動 
6月29日の国民議会選挙(議席数50)に向けて候補者達は最後の追い込み中。6月3日の立候補届出締切までに名乗りを上げた候補者は男性370人女性32人の計402人。でもその後2週間で辞退者が60人も出て(どうして〜?)今日18日現在候補者は計約340人。キャンセルの受付締切まで後約1週間あり、更に辞退者が出る見込みだとか。走り出して途中で止めちゃうなんて不思議… 候補者のポスターや看板の大きさはシチュエーションによってさまざま。皆さんディシュダーシャ着てるのがクウェート的。左の写真でAnwar氏の巨大看板が頭の形に沿って切り抜かれてるのが面白い。

車での移動が多い国ならでは。運転手に微笑む看板 ディシュダーシャ姿がクウェート的 頭の形に看板が切り抜かれてる。テント脇の車の柄が派手!
事務所と集会所を兼ねた巨大な特設テントがまたクウェートらしい。中にはご馳走、お菓子、飲み物がどっさり用意されているらしく、私も入ってみたいよ〜 透明のビニールになっている窓の形や付随の小さなテントの形がいかにもアラブ風でカワイイ。テントでの選挙運動と別に、候補者達は夕方から夜にかけて選挙区の家々のディワニヤ(男性専用の応接間)を直接訪問して支持を訴える。有権者の多い一族=候補者にとって票数の稼げる大事な一族だと印象付ける為、家長は成人した子供達や親戚を連夜ディワニヤにたくさん集めておくんだとか。私の友人も毎日実家から呼び出しがかかるそうだ。
世界一の美男子?
アフマド君

世界一の美男子 
パノラマというサイトによると、最近ある国際コンテストでクウェート人の男性モデルが各国から集まった30人以上の出場者の中から見事"世界一の美男子"グランプリに選ばれたらしい。写真のアフマド君(25歳)がそう。確かに精悍な顔立ちで美形の彼、賞金100万ドルをゲットだって! それにしても湾岸諸国や北部アラブの人の"目力"は男性も女性も強力… あちらの人は「東洋人の目って寝てるみたい」なんて冗談飛ばしてるけど、逆に言えばアラブ人は寝てはいけない場面でうっかり居眠りすると即バレる? ;P

私を投票に乗せてって!
クウェートの格安航空会社ジャズィーラ・エアウェイズが女性を対象に選挙前日と当日に「タダでクウェートにお連れします」と太っ腹な御祝儀サービスを計画。バーレーン、ベイルート、アレキサンドリアなど8都市からのフライトを対象に、女性なら(国籍問わず)空席があれば片道無料でクウェートに飛べるというもの。ジャズィーラ航空は2004年創業で近隣諸国に路線拡大中。全席エコノミーでミールサービスが無い代わりにどの路線も片道50ドル以下の設定。

演説中のファッションが物議を呼んだ
ナイマ・アフマドさん
(2006年6月18日
Al-Rai Alaam紙)

女性候補者第一期生 
女性が初めて国政に参加するという事で欧米のメディアからも注目される6月29日のクウェート国民議会選挙。24日に立候補"キャンセル"受付が締め切られ、何とその日一日だけで58人が「やっぱり立候補止めます」と届出。当初の立候補は407人(402人と複数のメディアで報道されてたのに いつの間にか増えている。なぜ?)だったけど、この3週間のキャンセル受付期間で合計154人も辞退、結局女性28人を含む253人で50議席を争う事に。有権者は約34万人。

ところで印象が大事なのはどこの選挙でも同じ? 新聞の一面に載った女性候補者の一人ナイマさんのファッションは「下着の線まで見える」と本題と関係無いところでかなり話題になったとか。こういうファッションは結構クウェートで見かけるけど、選挙運動ではちょっとまずかったのかな…

巨大テントの中は
こんな感じ
(2006年6月25日
Al-Rai Alaam紙)
ビニール窓の
形がカワイイ
それにしても
大きなテント
投票の順番待ちの
女性達に候補者が
日傘とイスを準
(2006年6月30日
Al-Qabas紙)
候補者達は投票所の周辺で料理やお菓子を有権者にふるまう
(2006年6月30日
Al-Qabas紙)

一族のおじさんが
立候補してる?
赤いバラは有権者にプレゼント
(2006年6月30日
Al-Qabas紙)

読み書きができない
有権者は口頭で投票
(2006年6月30日
Al-Qabas紙)
投票所の敷地内で
有権者にお水を
配る候補者の
サポーター
(2006年6月30日
Al-Qabas紙)

かくもカラフルな投票所 
結局国民議会選挙で女性は一人も当選しなかったけど、翌朝の新聞には投票所(学校が使われる。半端じゃない広大な敷地)やその周りで陽気で華やかな女性有権者達の様子が大々的に取り上げられた。まるでお祭のようで、こっちまで楽しくなって来る。大家族で親戚の多いクウェートでは 一族の中に候補者がいたら親戚の女性達もサポート部隊としてファンクラブさながら候補者の名前入りのお揃いの帽子、スカーフ、Tシャツ姿でキャンペーンに一役買って出た。で、彼女達は当日そのままの奇抜な格好で投票所に行き(男女別々、夫婦でもダメ)、有権者にお花やカード、お菓子なんか配ったりして(日本だと選挙違反ですよね)投票に来たんだか宣伝に来たんだか限りなく不透明な一日を過ごす。投票箱が置いてある部屋以外では何でもOKって感じ。一方の男性用の投票所は白いディシュダーシャ姿の男性が大多数を占め、カラフルな女性の園とは対照的。あ、ベドウィンの選挙区では黒いアバーヤで全身覆ってる女性が多いけど。

候補者達は投票ギリギリまで有権者の心を掴もうとあの手この手のサービスを投票所内外で繰り広げる。写真にあるようにビュッフェとかお菓子や飲み物をふるまったり、ゴルフ場や球場で見るようなカートで有権者を投票所の敷地内で送り迎えしたり、花束配ったり、順番待ちの有権者にパラソルやイスを用意したり… 全て日本じゃ選挙違反、でもクウェートでは当たり前の合法的工作。"ケチ"と言われるのを事の外嫌がる国民性が現れてるような… 選挙権があるだけで こんなおもてなしを受けられるなんて羨ましい!

投票箱が置いてある部屋には各候補者が送り込んだスタッフが選挙管理委員会の人達の後ろに張り付いて不正が無いかどうか自分達で確かめる仕組みになっている。例えば写真のように文字の読めない女性の場合、公式の代筆者に口頭で意中の候補者を告げて投票するわけだが、代筆者の背後に座った各候補者のスタッフ達は不正のないように厳しくチェックを入れる。友人のお母さんも投票所へ…でも投票が目的じゃなく、投票所でお友達や親戚とお喋りする為だそう。

ポンッと昇給40万円
クウェート大学の先生の月給は何と40代前半で2500KD=約100万円(もちろん無税)らしい。しかも30代で教授になる人も多い。更にこの度新しい法律が施行され、ほとんどの先生方は一律1000KD=40万円の大幅な昇給が認められた。スゴイ大盤振る舞い… 日本の国立大学の先生ってどのくらいもらってるのかな? 学生時代を振り返ってみると 教授はともかく、助教授(30代ー40代)の先生はとても100万なんてもらってそうには見えなかったけど。

あっ、大臣がこけた! 
Mohammed Sharar 前副首相がスピーチの後 ステージでこけた瞬間のビデオがネットで出回っている。ビデオには頭上の黒い紐イガールが外れるほど派手にコケた大臣と慌てて駆け寄る2人のおじさんがしっかり映っている。いったい誰が最初にこのシーンをネットに流したのかしら? スミマセン、大臣、私も映像を使わせて頂きますがお許し下さい…
演説する前大臣
舞台の左袖へと向かう
あっ、大臣がこけた! 
(黒いビシュト、頭に白いゴトラ)
慌てて駆け寄るおじさん達
ゴーン社長、日産の
工場クウェートに
作るって本気?
(2005年6月7日
Al-Qabas紙)

ラマダンがやって来た
2006年のクウェートのラマダン(断食月)は9月23日から始まった。外国人の非ムスリム宿泊客向けの朝食サービス以外(しかも人目につかないように仕切りがしてあって怪しげ)、レストランは日没まで軒並み閉まっているし、マリーナ・モールのような大型ショッピングセンターも午後は”シャッター街”となり、お昼のクウェートはエネルギーを消費しないようにしているかのように静か。でもスーパーマーケットはメチャ混み。

そしてラマダンの夜は普段お目にかかれない特別な料理(日本のおせちと同じ)ご馳走はあるし、お店は遅くまで開いてるし、人の往来は活発になるし、毎日お祭のよう。自宅でフトゥール(日没後最初の食事)を摂る人が多い為、テレビも連続ドラマや庶民参加型クイズなど気合の入った特別番組が目白押しで、ラマダンは一年で最もテレビ番組が充実している時期と言われている。面白いのは断食月に合わせて料理本が新刊されたり料理番組が増える事。そういう私も店頭の目立つ場所に並んでいたアラブ料理の本を3冊買った。美味しそう〜

お菓子の食べ過ぎに注意 
そんなクウェートでのラマダンのハイライトの一つは断食月の2週目、満月の頃にやって来るゲルギアーンという習慣で、子供達が歌を唄いながら家々を回り、大人達からチョコやキャンディーなどをもらう物。サンタクロースのような袋一杯に戦利品を収める子供もいるとか。イラクや他の湾岸諸国の一部でも似たような習慣があるらしい。専門家はお菓子の食べ過ぎを警告してるけど、甘い物好きの国民性、あまり聞く子はいないのでは。またいい大人(男性も)になっても姉兄や年上の親戚からお菓子のバスケットをもらったりする。私も欲しい〜

箱がいかにもクウェートっぽい

ゲルギアーン用の山盛りのお菓子
お持ち帰り用バッグのお菓子の詰め合せ

どなたですか? 
あるラマダンの夜、大通りに面した建物からディシュダーシャ(クウェート男性の白い民族服)姿の群れが出て来た。清潔な白と夜の落ち着いた明かりのコントラストがきれいだなぁ、と見とれていると次の瞬間パトカーがその建物付近の一車線を封鎖している物々しい光景が。実はクウェートの首長がこの建物を訪問していたのだ。

この建物はディワニヤと呼ばれる男性御用達の"応接間"で、たいていのクウェート人の家にあり、女性の家族と男性客が顔を合わせずに済むように男性客専用の勝手口が付いている。各家庭のディワニヤ以外にも親戚一同で共有する私的公民館のようなディワニヤを持つ一族も多く、ラマダンの夜は親戚連中(男性のみ)のたまり場になるらしい。そして毎年ラマダンの一ヶ月の間 首長は各ディワニヤをできるだけ訪ね歩くらしく、さすが小さく安全なクウェートならでは。


ショッピングモールからラマダンのご挨拶

”ラマダン・カリーム”と英字紙も初日にご挨拶

日没・日の出前の食事の間に摂る軽食ガブカを案内するレストラン 

新聞に出ていた人気のレバノン料理店の日替わりメニュー 

お菓子の専門店はラマダン用のギフト満載
気合が入るテレビ特番 左上のオジサンは喋りの面白さが受けて政界からテレビ界に転身
いわゆるドライブスルーとは 
ドライブスルーと言えば日本でも郊外のファーストフード店によく見られるけど、車社会のクウェートではマックなどのちゃんと誘導ルートがあるメジャー系以外でも 路上に車止めたまま運転席からお店の人を呼びつけて注文できるお店がたくさん。深夜まで遊ぶ若者向けにサンドイッチなど(具がシャワルマだったりするところがアラブっぽい)ファーストフード店が軒を連ねているストリートもある。

写真のお店は生ジュースと軽食の小さなお店のメニュー。袋に印刷されているのがインド人のお店らしく合理的で面白い。シェフの顔もユニーク、でもモチロンこんなちゃんとした格好したシェフなんか店内にいませんよー

怪しげに微笑むシェフの絵

裏面はジュースメニュー。ざくろもある
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お年玉は何歳まで?
日本のお年玉同様、クウェート等湾岸諸国でも(他のアラブの国の情報は不明)断食月ラマダン明けのイード(祝日)には大人が親戚の子供達にEidiyaを配る。だからラマダンの終盤の銀行は新札を求める大人達で混み合い、政府や会社も早めに給料を支払う。お金は日本や中国のようにポチ袋に小分けする繊細な習慣は無く(;P)、男性ならディシュダーシャのポケット、女性はハンドバッグに文字通りバサッと札束を入れて歩いている。

クウェートの場合 お札の最小単位は4分の1ディナール(約100円)で、幼児ならこれで十分、なんせお年玉をくれる大人がたくさんいるから。一方、ハイティーンには10−20ディナール(4000−8000円)以上あげるのが相場だとか。それでも昨今の日本の相場に比べると小額だけど、子だくさんでしかも親戚づきあいの活発な湾岸諸国の場合、お年玉をあげる子供の数も半端じゃない。親戚の子供だけじゃなく、中国人達のお年玉の習慣同様、年下の同僚や使用人にもお金をあげるので益々出費は膨らんで行く。私の友人は今年もEidiyaだけの為に20万円が消えてしまいそうと嘆いていた。賃貸マンションを経営しているその友人のお父さんなんか毎年100万円の出費だって! なんて太っ腹… 


お年玉用の新札、
計20万円也
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豪邸は是か非か
「クウェート人よ、本当に豪邸は必要なのか? 小さな家に住む日本人を見たまえ!」とはクウェート人記者による最近の地元紙の特集記事。(私が言ってるんじゃないけど、ウサギ小屋の住人として共感!) 記事の要約は「クウェート人は必要以上に大きなリビングルーム、ディワニヤ(男性専用の応接間)や地下室など、家に関してお金と空間を浪費している。豪邸を建てて飾り立てても使わない部屋やスペースがたくさんあるじゃないか。滅多に使わない地下室に25000ディナール(約1000万円)もかけるなんて、本当にもったいない。ジャクジーやマッサージ室なんて実際になのか?」(そうだそうだ〜) 記事によればクウェートの家の40%のスペースは無駄な部分との事。

記者はさらに日本のウサギ小屋を引き合いに出し、「豊かな先進国・日本では大多数の人々は50-60平米の小さな家に住んでいて、不公平だ。そして日本人は限られたスペースをセンチメートル単位での有効利用に優れているが我々にはそれができない」と日本に同情的というか好意的というか… でもクウェート人のお城のような豪邸、羨ましいな。

豪邸のリビングルーム(2006年10月29日
Al-Qabas紙)
サルミヤの夜景
クウェート空港では 公共スペースのショップやカフェの方が乗客用の制限区域内のお店より充実 空港は1979年、丹下健三氏によって設計された。当時は湾岸で最も近代的な空港だった
ゴールドが贅沢なFENDIのサングラス(約12万円)は湾岸っぽいデザイン
砂漠の4WDが画面から飛び出す東芝のパソコン。約8万円から
お洒落なセレブがお買物するショッピングモールの広告 
全部欲しい?!
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旅に出ます
2006年暮は巡礼月の犠牲祭と非イスラム教徒の通常の冬休みが重なり、帰省する外国人労働者を含めてクウェートでも出国ラッシュが続いていると友人から聞いていた。でも「外国人を入れた人口が僅か200万少々の国、成田ほどじゃないだろう」と思っていたら大間違い。空港が小さいから余計ごった返しているような気が…

エアライン
夜のクウェート
空港は旅人でパンク状態(2006年12月28日Al-Qabas紙)
ハラ・フェブラーイル初日 夜は花火も
(2007年2月16日Al-Watan紙)
パレードは大混雑(2007年2月16日
 Al-Watan紙)
お祭が始まった! 
2007年の”ハラ・フェブラーイル"は2月15日に始まった。これから1ヶ月、お店・ホテル・航空券の大幅な割引や文化的イベントが盛りだくさん。オマーン、ドバイでも同様のイベントが年一回あり、湾岸の人達はその時期に合わせて旅行する人も多い。初日のパレードは外国人も参加して写真のように大混雑。楽しそう!

なんたって5ディナール(約2千円)以上買物すれば高級車が1日1台当たるクジなど、あちこちで大盤振る舞いなのだ。他にも格安航空会社のアルジャズィーラは片道4ディナール(約1600円、空港税は別途必要)で就航地のどこにでも行けるチケットを100万枚発売、なんとカイロにもこの料金で行けるという。またアラブ・ポップスファンにとっては この期間は人気歌手のコンサートが連日のように深夜まで催され、眠れぬ夜が続く。
泡の集中砲火
2007年、2月25日のナショナルデーと26日の解放記念日までクウェートでは5連休だった。そしてこの祝日、大渋滞のガルフ・ロードは水性の泡スプレー合戦が繰り広げられ、知らずに通ると大変な目に遭う。無礼講の集中砲火に遭いたくなければ車のドアにちゃんと鍵をかけ、徒歩ならこの道に近づかない事です。でも泡スプレーさえあれば誰でも参加できるので クウェート人と一緒にのどかな戦争ごっこを楽しむのもいいかも。このスプレーはスーパーで1本約600円で売られていて、中には段ボール箱でまとめ買いする人達もいるとか。

これが"武器"の泡スプレー、1缶約600円
スプレーで仁義無き
楽しい戦い
(2007年2月25日 Al-Qabas紙)
車のドアをロックしないとこんな目に
(2007年2月25日 Al-Qabas紙)
自転車少年にも
容赦なく泡の雨
(2007年2月25日 Al-Qabas紙)
もう十分なのでは 
2007年3月、クウェート最大のショッピングモール・アヴェニューがオープンした。早速出かけた友人に言わせると「あんなにメチャ混みのモールは初めて」というくらい大混雑だったらしい。東京のミッドタウン開店初日とどちらが人口密度が高かったのかな。

4月の現地紙の特集記事によれば クウェート(日本の四国と同じくらいの大きさ)には何と67もの大規模ショッピングモールがあるんだとか。特にイラクのフセイン政権崩壊翌年の2004年以降34%も増え、更に現在あちこちで建設中の11の大型商業施設が3年以内に全て完成予定。 写真の男性、不動産会社マネージャーのアル・スヘイル氏は2010年までに湾岸諸国(6ケ国)全体で商業施設の総面積は1万平方キロ(秋田県より少し小さい)に達し、うちクウェートの商業施設の総面積は10%を占める見込みと言っている。湾岸諸国でのクウェートの国面積は僅か0.67%だから、いかにクウェートがショッピングモール
大国かがわかる。もう十分なのでは? 

氏に言わせるとクウェートのモールの90%は魅力的じゃないんだって。私から見れば日本の商業施設より内装に凝っててお洒落で歩いてて楽しいんですけど… 男性と女性の嗜好の違い? 一つのモールを作るのにの建設費は約25億−250億円かかるらしい。やっぱりクウェート、お金持ち〜
私も大好きな
マリーナ・モール 
(2007年4月1日Al-Qabas紙)
夜更かしは木曜日に
2007年9月1日からクウェートの週末が現在の木・金から金・土に移行しそうな見通し。5月27日付の国営クウェート通信によると、既に金・土が週末の銀行や石油会社に倣い、政府機関も週末を変更する事が閣議で決定。湾岸諸国のカタール(最初に採用)・アラブ首長国・バーレーンは一足先に金・土の週末制を施行しているけど、慣れ親しんだ週末が変わるってどんな感じなのかな。クウェートの友人(官庁勤務)は「イヤだなぁ。銀行に行けないし、木曜朝の通勤で道路が混むよ〜」。一方、2006年9月から新しい週末制に移行したアブダビの友人は「もうすっかり慣れた」と半年後には言ってましたが。
公務員からテレビ界へ
右の写真はクウェートTVのプレゼンターGhadahさん。以前は保健省に勤めていたとかで、公務員からテレビ界への華麗なる転進とは、就労人口の9割以上が官公庁勤務というこの国らしい。5月にAl-Qabas紙が「どうしてテレビ番組の女性司会者達は化粧が濃いのか?」と特集、Ghadahさんにも意見を聞いたところ「そんな事ないわ。私達、フツーのクウェート人女性と同様薄化粧よ」との回答。真偽はともかく、彼女のドレス、素敵ですね…

お洒落なドレス姿のガダーさん
(2007年5月
Al-Qabas紙)