真珠の小国 バーレーン
面積709平方キロ(奄美大島くらい) 人口68.9万人(うちバーレーン人42.7万人)
一人当たりGDP 9,085ドル(日本は36,187ドル)
最初に訪問した国や飛行機の旅を鮮明に覚えている人は多いと思う。バーレーンは私がアジア圏以外で初めて訪れた外国、だから今でも最初の一歩の強烈な印象はよく覚えているし、そのせいかアラブ世界の中でも湾岸諸国に特に親しみを感じる。この国は私にとって"アラブ事始め"の地。
アジア発の便は夜中に中東に着く事が多く、香港発の飛行機の窓から私が最初に目にしたバーレーンも静かに街灯に照らされていた。空港を一歩出ると5月の深夜にもかかわらずムワーっとした熱風。豊かな産油国に囲まれて今ひとつ華やかさに欠ける小国だけど、アラブへの扉を開いてくれたバーレーンが私は大好き。
ペプシでナンパ?
実はアラブの事を何も知らなかった私はバーレーンは怖い所と思っていた! それでも持ち前の好奇心に勝てず、友人がお昼寝してる間に早速一人で宿泊先のインターコンチネンタルホテルの周りを探検する事に… 暑い陽射しの下、ドキドキしながらお菓子屋さんやカセットテープのお店を覗きながら歩いていると、ん?後ろから誰か着いて来てる気が
… 私が早足になると後ろの足音も早くなる。えーっ、やっぱり怖い国で単独で出かけるんじゃなかった、でもホテルはすぐ近くだし、どうしよう、ダッシュで逃げようか、などと思ったその瞬間、"Hello"と背後から聞こえて来た。
振り向くと色黒のお兄ちゃんが"You want Pepsi with me
?"とペプシのボトル片手に笑っている。あ、一緒に一杯飲もうって誘ってくれてたのね。人さらいじゃなくてよかった〜 もちろん即効でお断りしてホテルまで走って帰ったけど。安全なバーレーン、その後何度も訪れ、友達と目的地もわからないまま公共バスにチャレンジしたり、スーク巡りやゴールドのピアスなどの買物を楽しんでいる。
直球勝負のインド料理
小国ながら湾岸の金融センターを目指すバーレーンには各国からのビジネスマンが多数駐在する。アメリカやイギリス軍も駐屯してるし、アジアからの出稼ぎも多いため、他の湾岸諸国と同じく首都マナマではヒルトンホテルの日本食レストラン慶Kei
をはじめ各国料理の種類が人口の割に充実していて、私の町には一軒もないフィリピン料理のレストランもある。女性同士や家族で行くなら2階席やカーテンなどで仕切られたファミリールームが快適。イチ押しは非アラブ人居住者で圧倒的多数を占めるインド人達を満足させるインド料理。お客もインド人ならシェフもインド人だから変にアレンジしてない純粋なインド料理にありつける。いろいろ見比べて決めたい人にはセーフ・モールやバーレーン・モールなどの大きなショッピングセンターがお薦め。スターバックスから、フレンチ、イラン料理まで揃っているし、お手軽なフードコートもある。あと暑い中スークを歩き回った後に食べるアイスクリームはとりわけ美味、ってことでBab
Al-Bahrain近くのデイリークィーンは私のお気に入り。
女性が泊まるなら
週末になるとバーレーンにはサウジアラビア人やカタール人が買物、お酒、夜遊び目的で大勢遊びに来るためサウジとバーレーンを結ぶコーズウェイは木、金曜日は渋滞しがち。慣れないお酒に酔っ払った若いサウジアラビア人達が(サウジは禁酒の国)隣の部屋で夜通し騒ぐ声が筒抜けで朝まで眠れない、という悲惨な話も聞くので、音に敏感な人は落ち着いた”大人”御用達の5つ星ホテルに泊まるのが無難。私が好きなのはオールドスークとゴールドスークに歩いて行けるリージェンシー・インターコンチネンタルとセーフ・モール近くのリッツホテル。インターコンチネンタルのコーヒーショップのお昼のビュッフェは食いしん坊(私の事かな?)にお薦め。豪華なロビーでゆったりお茶できるリッツホテルは美容室とエステも充実していて女性にとって嬉しい限り。
アバヤ貸します!
他の湾岸諸国ではありえない(私の知る限りでは)けど、バーレーンには異教徒OKのモスクがある。アル・ファテフ・イスラミック・センター(グランドモスク)では金曜日とラマダン月以外中に入る事が許され、女性にはアバヤとヘジャーブを無料で貸してくれる。写真撮影もできるので、モスクで全身を黒に包んだ神秘的な姿を記念に残せ、なかなかいい感じ…
モールのお客様
地元のバーレーン人達はあまり巨大ショッピングセンターで買物していないようだ。女の子にちょっかい出すサウジの若者を嫌ってバーレーン人の親達はサウジアラビア人が押し寄せる週末にセーフ・モールへ娘を連れて行きたがらないとは聞いた事あるけど、平日もフードコート以外ではバーレーンの庶民はあまり歩いていない、というか歩いてるんだけど実際に買物している人は少ないみたい。一人当たりの国民総生産9,085ドル(日本の4分の1)、しかもスンニ派王族の国家政策の影響で7割を占めるシーア派住民の生活水準は低く、豊かな人々からの寄付無しでは十分に学用品も買えない子供も多い。彼らにとってブランド物が揃う華やかなモールは毎日お客様になれる所とは言い難いかも。私もシーア派の人々が住む地域を訪れた事があるが、舗装されていない道路、崩れかけた簡素な家、ほつれた服で走り回る子供達に胸が痛んだ。
城砦のエアコン
バーレーン北部にあるBahrain Fortは1521-1622年のポルトガル支配時代に作られた城砦の中で最も大きい。不思議な事に35℃以上、しかも蒸し暑い日でも北に面した部屋にはカラッとした涼しい風が窓から入って来て天然のエアコンみたい。
国籍あげます!
ここだけの話、バーレーン国籍が取れるらしい?! 国民の大多数がシーア派、でも富を独占している王族はスンニ派という複雑な事情のあるバーレーン、王族に味方となるスンニ派の人口を増やす為にスンニ派イスラム教徒の外国人に国籍を濫発しているとか。地元の人の話では、現在のハマド国王が1999年に即位して以来、既に10万人以上に与えているというから半端な数じゃない。ここまでしないといけないとは… 主な人々はパキスタン、シリア、ヨルダン、イエメンなどから来た労働者で、地元の人からすればアクセントや外見からして”よそ者”なのは一目瞭然。 なおバーレーンではシーア派は軍や警察のポストにはまず就けないとの事。
お姫様の駆け落ち
以前アメリカの海兵隊員でモルモン教徒のジェイソンと駆け落ちしたバーレーンのお姫様Mariam Al-Khalifaの短いラブストーリーは映画にもなったので御存知の方も多いと思う。彼らはマリアムがまだ女子高生の頃Bahrain
Mallで出合い、友情が恋愛に発展、でも王族の女性がアメリカ兵と結ばれるなんて許されるわけもなく、マリアムは1999年に自宅の窓から脱走してジェイソンとアメリカに渡った… 既に親の監視が厳しくなっていたマリアムの逃亡劇がばれないわけはなく、シカゴ空港に飛行機が着くや否や2人は拘束されたものの釈放後に無事結婚、この時ジェイソン23歳、マリアム19歳。でもジェイソンはこの罪で除隊、2人の新婚生活は貧困と不安の中で始まり結局5年後の2004年に離婚。除隊になった後ホテルやカジノの駐車係などしていたジェイソンとラスベガスで友人達と派手なナイトライフに興じていたマリアムの恋の破局は自然の成り行きだったかも。ラブラブの頃のカップルの写真を数枚見た事あるけど、マリアムは映画の女優さんよりはるかに可愛く、一生懸命料理をしている表情がけなげだった。
人口4割増増加
週末になるとサウジアラビアからの訪問者が増えるのはいつもの事だけど、2006年のラマダン(断食月)明けの4日間の祝日中は特にすごかったようだ。何とバーレーンの人口が一気に4割増! 新聞によると、実に25万ものサウジアラビア人が訪れたそうで、ホテルの稼働率95%以上、車で来た場合のコーズウェイの国境では4時間待ちの渋滞だったらしい。遊びに来るのも楽じゃない…
異教徒も入れるグランドモスク