チョコレート
クウェート人はチョコレートが大好きで、一人あたりの年間チョコレート消費量は世界一だとか。だから私は贈り物にはもっぱらチョコレートを選んでいる。某国のクウェート大使(在京大使じゃありません、念の為)を訪問した時、華やかなチョコの詰め合せをお土産に持って行った。「日本製のチョコです、どうぞ」と差し出すと 大使はすかさず「開けていい?」と包みをバリバリ。チョコレートを目にしたとたん、パクリと嬉しそうにまず一口。そしてもう一口。慌てたせいか コロコロとチョコが一粒、土足OKの床に落ちてしまったが、彼は気にもせずに拾い上げ 口に放り込んだ。8ヶ国語も操り先進国で任務を歴任した大使なのに、まるで子供みたいで可愛いかった。
カターイフ
ナッツやクリームを入れて油で揚げ、シロップをかけた甘いお菓子。もともとはシリア、ヨルダン、エジプトのお菓子だけど今ではアラブ全域でラマダン中に見られる。逆に時期を外すとまずお目にかかれないので、まさに断食月のお菓子界の大スターで、大手のスーパーでは職人による実演販売もあるほど。
お店で出来上がりを買う事もできるけど、写真(中)のようなプレーンな小さいパンケーキだけ買って来て、お好みの具を包んで 昼間のうちに自分で仕上げる人も多い。日没まで食べられないものの、この空腹時のお菓子作り、自宅のキッチンに漂う甘い香りで結構お腹が満たされるし、食への執着心も楽しく紛れるらしい。
マァムール
シリア、ヨルダン、エジプトから湾岸諸国に伝わったお菓子。ナツメヤシ(デーツ)入りのビスケット
飛行機も遅らせるチョコレート
クウェート人が一番好きなチョコレートはイギリスのフレークというチョコレート。もちろんクウェートのスーパーでも売られているが、イギリスでまとめ買いする人も多い。ロンドンの空港で出発時刻が迫ってもクウェート人乗客が飛行機に乗って来なかったら フレークを売ってる免税店に探しに行くといい、というジョークがあるほど。外見はさくっとしたチョコに見えて中身はもっちり歯ごたえありのフレーク、私も大好き。
チョコ選びは要注意
日本産チョコレートはウィスキーボンボン以外でも 風味付けの為に微量のお酒が使われている事が多いので、買う前に確かめるのが必須条件。宗教上、アラブ人の大部分はお酒を飲まないから… だからデパートでよく見る極上トリュフやとろける生チョコはまず無理。私の御用達はアルコール抜きでも華やかなチョコが揃ってるメリーとゴンチャロフ。特にゴンチャロフはお酒抜きのチョコレートの種類が豊富でおススメ。
粘るアイスクリーム
日本でもお目にかかれる、ガムのように粘り気のあるトルコ風アイスはアラブで"アラブ・アイス"の名前で売られていて、主にシリア・レバノンなどのシャム地方やこの地域出身の居住者が多いクウェートで見かける。アラブ菓子店やアイスクリーム専門店でカップや量り売されていて、チョコレート、バニラ味などの王道以外にサフラン、ローズ・ウォーター、デーツ、ピスタチオ味なんてあるのがアラブらしい(トルコにもあるかもしれませんが)。ちなみにクウェートでは1キロ約400円。複数のフレーバーを頼んだ時、日本のように小分けしたスグレ物の容器ではなく、一つのカップにごちゃ混ぜで押し込んでしまうのがアラブ人的というか…
クナーファ
ヨルダン、パレスチナ、レバノンで人気、特にパレスチナの都市ナブルス産が特に有名。チーズ入りのパイで砂糖水とレモンジュースを混ぜた甘いシロップをかけて食べる。エジプトのクナーファはちょっと違うタイプみたい。クウェートにはクナーファの専門店があり、テイクアウトで注文するとピザならぬクナーファをオーブンで焼き、アツアツをこれまたピザのように箱に入れてくれる。写真のオレンジ色のクナーファは1枚約800円、上には砕いたピスタチオが載っている。茶色の方は量り売りとプレート売りの両方があり、写真のプレートは約1400円。
季節物コーナー
ラマダンの時期になるとスーパーマーケットの目立つ場所には季節物コーナーが登場する。お米や小麦粉と一緒にドーンと並べられているのはVIMTO(甘い濃縮ジュースで、薄めて飲む。湾岸諸国では1本200円強)や各種デーツ(ナツメヤシ)、プリン、ゼリー、マァムールやシロップを絡めて食べる丸いお菓子(名前がわかりません)など断食中の胃と口に優しい食べ物。お菓子専門店では気合の入ったギフト製品が売り出され、店内は一段と華やぐ。
下の写真(拡大して見てね!)はカタールのお店の広告。1リヤルは約30円。え、6人分のブラックフォーレスト・ケーキが300円?! 私のお薦めはデーツを散りばめたパウンドケーキだけど、賞味期限が2〜3日と短く、地産地消するしかないのが残念。